メーカーごとに趣向を凝らして作られている板チョコは、本当に多種多様で数えきれないくらい。子供でも食べられるオーソドックスな甘いタイプとは別に、大人だからこそ楽しめるチョコレートが増えてきている印象を受けます。チリやペッパーなどスパイス類を使ったものも多く、それらは大抵「ピリ辛い」というのを通り越して、思わず「辛〜い!!」と声を出してしまう刺激的な味。お酒とのペアリングを推奨するのも納得です。
また、「シーソルト(海塩)」を使ったチョコレートは多くのメーカーから発売されており、人気のあるフレーバー。ミルクチョコレートをベースにシーソルト+ピーナツ、シーソルト+キャラメルなどの組み合わせを良く見かけます。
岩塩ではなく海塩が注目されている理由の一つは、ミネラル分に富んだグルメ素材・天然素材のイメージが強いからではないでしょうか。また、岩塩よりも結晶が小さい海塩の方が食材との馴染みも良く、素材の味を引き出すことができるので、チョコレートの甘味を引き立てたり、その塩味をアクセントにしたりできるのだと思います。
そのシーソルトを使ったチョコでもちょっとユニークなコンセプトからスタートしているのがSalazon Chocolateというメリーランド州のチョコレートメーカー。アウトドア時に塩入りのビターチョコレートがエナジーフードとして理に適っている、と気づいたことから、シーソルト入りのチョコレートを展開。全ての商品が塩味なのですが、味へのこだわりだけではなく、100%オーガニック、シングルオリジン(単一の産地)、レインフォレスト・アライアンス認証(熱帯雨林の維持を目的とした国際認証)……とカカオへのこだわりも相当なもの。
アメリカの板チョコには、それ以外にもフェアトレードなど、カカオを生産する環境やそれに関わる人々の生活に配慮していることを表すキーワードを多く見ることができます。またシングルオリジンと言われる、単一産地のカカオから作られた板チョコも日本のスーパーやコンビニとは比較できないくらい充実しています。これらのこだわりチョコレートは約$3〜$9と価格の幅があり、比較的高価な板チョコになりますが、チョコレートを選ぶに当たって本当に多くの選択肢を与えられているという印象を受けました。
その一方、さすがアメリカ!と気持ちが楽しくなるような板チョコも。カレー&ココナッツ入りやベーコン入りのミルクチョコなどは、ご存じの方も増えてきているかもしれませんね。また、最近私が出会った中で衝撃を受けたのは、パン粉入りのビターチョコと、ベーコンより一歩進んだ(?)ビーフジャーキー入りのミルクチョコ。チョコにこういうものを入れてしまうアイデアに脱帽です。
ただ甘いだけではないアメリカの板チョコ。ここには、“チョコレートはもっと自由に楽しめる”というメッセージや、アメリカならではの遊び心がたくさん詰まっているのではないでしょうか。
講座情報
~板チョコから知るユニークなチョコ文化/アメリカ~
様々なチョコをテイスティングしながらその味の違いや魅力を学んでいく講座。今回は、色々な板チョコの試食と共にアメリカのユニークなチョコ事情をレクチャー。ショコラコンシェルジュ(ショコラの案内人)目指して、チョコレートを味わう「舌」を鍛えましょう!男性もぜひご参加下さい。
日時: 2012年09月16日 (日) 17:00-19:00
会場: 六本木アカデミーヒルズ49(六本木ヒルズ森タワー49階)
申込方法などの詳細: http://www.academyhills.com/artelli/detail/2012/tqe2it00000hwra5.html
プロフィール
株式会社ポットラックインターナショナル代表取締役。2004年にチョコレートのテイスティング講座を開講、2005年にはスイーツを中心としたコンサルティング業務をスタートする。以来、製造・販売・企画の経験を生かして、リサーチから商品化までの一連の流れに携わる他、各種スクールでの講座や企業向け研修等、食とスイーツに関する業務で幅広く活躍。
http://www.potluck-i.com/
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