アメリカのクリスマスと言えば、ケーキならブッシュ・ド・ノエル、そしてギフトはファンシーなチョコレートです。アメリカのチョコレートの質は年々グレードアップし、良質でアーティサン(手作り、職人が作った味)の品質を見極めるチョコレートファンが全米に急増しています。
エレガントなボックスにリボンで包まれた“ホリデーボックス”がデパートや各店頭にディスプレイされ、街全体が華やかなギフトムードで盛り上がっています。
今回は、シアトルで出会った、アメリカにグルメチョコレートを広げた先駆けといえるミセス・フランさんの「フランズチョコレート」を紹介します。
シルキーで舌がとろけるように滑らかで上品な甘さの「Fran’s Chocolates」は、厳選されたマダガスカル、メキシコ、ベネズエラの良質カカオだけを使用し、オーガニックの高級ナッツや季節のフルーツを原料に、手作りの美味しさを引き出したリッチで本格派のショコラティエです。
歴史は1969年にさかのぼり、フランス旅行に行ったフランさんが、フランスの良質チョコレートの虜になった時から始ります。その頃、アメリカではまだ、甘くて大量工場生産のチョコレートが大半のシェアを占めていました。「アメリカにも高品質のチョコレートを広めたい」と彼女は、アメリカに帰り小さなキッチンで来る日も来る日も研究をし、“グルメ”チョコレートを完成させました。
そして1982年、シアトルの一角に小さなベーカリーと手作りチョコレートの店をオープンしたのですが、当時のアメリカ人はまだこのリッチなカカオと繊細な甘さのチョコレートを認める人が少なく、すぐには人気を得られませんでした。それでもフランさんは、諦める事なく作り続け、次第に地元から支持を得るようになり、ついに「米国のベストショコラティエ」の名誉を受賞します。
続けてかねてより彼女が力を注いでいた「グレイソルトキャラメル」「スモークトソルトキャラメル」がNASFT(National Association for the Specialty Food Trade, Inc.)金賞を獲得しました。じっくり時間をかけて作ったスモーキーで香ばしいキャラメルにつつまれたチョコに大粒の天然塩をふりかけた、ハーモニー豊かな傑作です。口に入れると、複雑な味のコラボが広がり、最高の口どけを味わえます。一昔前のアメリカでは、チョコレートとソルトのミックスは考えられませんでしたが、今ではこの作品が同店のベストセラーです。
次のページ 1 2