「Japanese Sweets」の文字がサンフランシスコの目抜き通りに登場し「源吉兆庵」がオープンしたのは、2年前。その時、日本から岡田拓士社長が日本から駆けつけ、「感性、味覚、季節感を持つ伝統和菓子をアメリカに伝えたい」とテープをカットした光景は、まだ記憶に新しく残っています。この繊細な高級和菓子がアメリカ文化に浸透する日がくるのを願いつつ、季節を彩る美しいディスプレイに見入っていました。
サンフランシスコで高級和菓子店がオープンしたのは初めてだったため、オープン当初は、和菓子を粘土細工と思い美術館と勘違いする人や、ディスプレイを試食品と間違えて口にするお客さんもおられたとか。それだけ日本のディスプレイ技術はすぐれているという事ですね。今では、ここに訪れる常連客が増え、「美しい菓子折りをギフトに」というアメリカ人が増えています。
アメリカで和デザートといえば「mochi」「matcha」「azuki」で、これらはすでに英語化され、一般家庭や日本食レストランで親しまれています。しかし、「伝統和菓子」はアメリカには存在しませんでした。そして柿や栗などの「季節」の菓子が店頭で見られる事がないからこそ、この美しい「和菓子芸術」に魅入られるのでしょう。一方、ハイエンドな日本食レストランでは、創造的な「wagashi」をデザートメニューに加えている店もあります。
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