2013年7月、パリに初めてのシフォンケーキ店がオープンしました。名前は“シエル”、日本語で“空”という意味です。ミシュラン1つ星レストラン“ソラ”のオーナーでもあるユーリン・リーさんと、フランス在住の日本人パティシエール、ルロワ彩さんがオープンした店です。
リーさんが“ソラ”をオープンしたときの店のコンセプトが「軽やかさ」で、このシフォンケーキの店でも「軽やかさ」を目指しているとのこと。それで、ソラ→空→シエルとなったのだそうです。
ルロワさんは、日本ではアラン・デュカスの“ベージュ”などで経験を積んだパティシエールで、2010年に渡仏し、同じくデュカスグループの“ジュール・ベルヌ”、ティエリー・マルクス率いる“マンダリン・ホテル”のレストラン“サチュルヌ”などで、旬なレストランのデザートを肌で感じてきました。
もともとはソラのお客だったルロワさんですが、すぐに2人はシンパシーを感じて、友人になったそう。フランスにはない、日本で人気のシフォンケーキをテーマに店をつくってみたら、というアイディアが、リーさんとルロワさんの間で化学反応を起こしたのです。
「シフォンケーキはフランスでは珍しく、誰も知らないパティスリーでしたが、様々な味わいで季節感も表現できるし、塩味のものもできるなど応用も可能なので、魅力的でした」とルロワさん。シフォンケーキという名前では、フランス語ではわかりにくいので、天使のように軽やかなという意味を込めて“エンジェルケーキ”と命名。
味は柚子味/抹茶味/フランボワーズ/チョコレート/ローズ色のプラリーヌ/バニラ・キャラメル味の6種を用意していますが、日本の一般的なシフォンケーキとは違って、中にクリームを閉じ込めているのが特徴的。
柚子味なら、柚子風味のクリームに、柚子のコンフィチュール、ピールを入れていたり、フランボワーズなら、フランボワーズのコンフィチュールにフレッシュフランボワーズも閉じ込めたり。レストランの経験もあるルロワさんならではの、デザート感覚を大切にしています。
季節によっていろいろな挑戦もしていきたいそう。また、夜には塩味のエンジェルケーキも用意。今のところ、クルミオイルと胡椒、パルメザン風味の1種だけですが、エストラゴンハーブ風味のものなど開発していくということです。
この店のもうひとつの特徴は、シャンパーニュやウィスキーなどのアルコールを合わせてケーキをいただけるというコンセプトでしょう。チョコレートのエンジェルケーキにウィスキー、パルメザン風味にシャンパーニュなどの新しいマリアージュを楽しめる試みは、リーさんの遊び心によるもの。シャンパーニュは、ローラン・ペリエからサロンまで30種。また、ウィスキーはサントリーのもので、レアな“山崎ミズナラ”などもリストにあり、愛好家にはたまらない品揃え。シフォンケーキとアルコールを合わせるという挑戦は、パリならではの発想ですね。
店鋪情報
住所: 3 rue Monge 75005 Paris
電話: 01.43.29.40.78
営業時間: 10:30〜23:00(火〜木)、10:30〜翌01:00(金、土)、10:30〜17:00(日) 定休日: 月曜日
Web: http://patisserie-ciel.fr/