映画「マカロニ(邦題)」の舞台は南イタリアのナポリ。“baba”はナポリの伝統菓子でもあります。ミラノの下町のスーパーマーケットにも、大きめのガラス瓶に、リキュール漬けのババが窮屈そうに詰まっているのを見かけます。そのため“ババ”は南イタリアの大衆菓子のイメージが強いのですが、シェフの手にかかるとレストランの一品デザートに変身します。
シェフDanilo Ange(ダニーロ・アンジェ)さんが、イタリアのフリウリ・トカイ地区ワインの新名称「TAI」の登録発表の試飲会場で、デザートに披露したのが「”TAI”ワイン風味のサヴァラン、森のフルーツ添え」です。“サヴァラン”も“ババ”も基本となる生地種はほぼ同じで、フォルムが丸形かキノコ形かの違いだけなのだそうです。
アンジェさんは「TAI」ワインの発表会であることもふまえ、風味が優しい「TAI」ワインの白をサヴァランに使いました。通常はラム酒やレモンリキュールなどのアルコール度数が高めのお酒に浸すのが特徴で、好き嫌いも多そうです。今回アンジェさんは白ワイン、バニラ、オレンジの皮、クローブを合わせたシロップを作り“サヴァラン”を10分程浸し仕上げます。「TAI」白ワインのデリケートな味わいのサヴァランに合わせて、冷やした「TAI」赤ワインがサーブされ、意外にもお互いの良さを引き立てていました。
一方、シェフPaola Budel(パオラ・ブーデル)さんの「“ババ”と苺のマリネ、ミント風味」は、ミニミニサイズ(2cm)に焼き上げたババに、パッシートワインにミント、バニラ、アニス、レモンの皮を合わせたシロップを含ませていました。そこに、レストランの庭で採れた遅摘みの苺を、同じくパッシートにミントとバニラで香り付けしたシロップでマリネしたものを添えています。女性らしいセンスが感じられる可愛いデザートです。
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