神戸のメインストリート・フラワーロード沿いにあるランドマーク花時計のすぐそばにある「イグレックプリュス+三宮店」。地元客はもちろん、観光客も遠方から訪れる人気のパティスリーです。
こちらは、北野のある都市型オーベルジュ「神戸北野ホテル」の総支配人・総料理長山口浩氏がプロデュース。神戸北野ホテルは、フランスの名店「ラ・コート・ドール」のベルナール・ロワゾー氏から受け継いだ「世界一の朝食」も楽しむことができるホテルとしても好評を博しています。
その朝食に登場するクロワッサンやデニッシュをはじめ、マドレーヌ、フィナンシェなどの焼き菓子やコンフィチュール、ホテルメイドのカレーやホテルで使用しているスパイス、調味料なども販売しているのが、「イグレックプリュス+三宮店」。言うなれば、ホテルのアンテナショップ的な存在。宿泊した方はもちろん、泊まらずともホテルの味が楽しめるのが魅力となっています。
この店のシェフパティシエを務めているのが多田征二さん。「ラデュレ」をはじめとしたフランスの名店で研鑽を磨き、帰国後、そのセンスと腕前を買われ、ホテルの立ち上げと同時にシェフパティシエに抜擢。当時、斬新な直方体のスタイリッシュなケーキが注目を集めました。
生産量1%のチョコレートを使用したガナッシュタイプのムース「オクマレ」、マスカルポーネのクリームにイチゴとトマトのジュレをサンドした「ピエロ」、2種のナッツをさまざまな食感で味わえる「ミラノ」など、どの商品もオープン当初から変わらない細長いデザインと味で、定番の人気ぶり。
「いつ食べても、単純に『おいしい!』と思える変わらない味を追求していきたいんです」とシェフの言葉どおり、ロングセラーの品々の味には安定感があります。
特に「ミラノ」は、多田シェフが23歳のときの国際ジュニア製菓技術者コンクールで優勝し、日本代表に選ばれたときに考えた作品。ヘーゼルナッツとピスタチオという相性のよいナッツ2種をなめらかなババロアやムース、ダックワーズ、ビスキュイ、プラリネなどに変化させて構築した4層のお菓子は、食感、口どけ、香り…、そのバランスがパーフェクト。10年以上前に考案したとは思えない新鮮さも兼ね備えています。
また、オープン当初看板商品だった「カシスモンブラン」が少しマイナーチェンジし、10周年を記念して現在販売中。ピュアホワイトのムラングの中に、マロンクリームとカシスのピューレの入った、モンブランの内側と外側を入れ替えたデザインのモンブランは、いま見ても美しく、まったく古びていません。
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