プラリネで一番人気の「アペロ」はパッションフルーツ、ライムとヴォッカの組み合わせ。他、酒やわさびなどアジア風なものから、シガー、ベーコン、フライド・オニオン、カリフラワー、サフランカレーなど通常では想像のつかない食材と組み合わせるのが彼の特徴。はじめは全く味の想像がつきませんが、一口食べてみると滑らかなチョコレートの中にベーコンのクリスピーな食感が加わっていたり、ほのかに香るフライド・オニオンが感覚的に伝わってきて、なんとなく納得できる味だから不思議です。
また、珍味なチョコレートのみならず、「チョコレート・シューター」というチョコレートを鼻から吸引する変わった食べ方を提案したのも、彼がクレイジーだと言われる所以。透明なプラスティックの伸びた先端にチョコレートの粉末を置き、スッと鼻から吸引すると頭の奥までチョコレートが届き、そこから鼻や口へ風味が伝わりながら広がり、そして長い間持続するのです。これはドミニクがローリング・ストーンズのバースデイ・パーティに呼ばれたときに贈ったギフトと言われています。
店の奥にはショップの内装とは打って変わった機能的な空間が広がります。ここはチョコレートのキッチン。かつてナポレオンが滞在していた頃、実際にキッチンとして使われていた場所だといいます。オレンジなどのドライフルーツにチョコレートをディッピングするなど、ブルージュから運ばれてくるプラリネ以外のアイテムはここで作られます。またハロウィンやクリスマスなど季節のチョコレートもここで作業が行われるそうです。使用されるチョコレートは一日70から100キログラム。一般客もその様子を見学することができます。
クオリティの高い食材同士のフード・ペアリングに偏見を抱かず、味とアロマの絶妙なバランスを見つけることが、次世代のチョコレートの改革のキーだとドミニクは語ります。一般的なチョコレートのコンセプトを打ち砕いた遊び心たっぷりのチョコレート・ラインは、アントワープに来る人たちの好奇心をかきたてる特別な場所なのです。
店舗情報
住所 : Paleis op de Meir 50, Antwerpen
電話番号 : +32 (0) 3 206 20 30
営業時間 : 火曜〜土曜 9:30-18:30 / 日曜〜月曜 10:30-18:30
WEB : http://www.thechocolateline.be/
プロフィール
東京のPR代理店で5年勤務後、2011年5月にオランダ・アムステルダム郊外に渡欧。オランダ文化、語学を学びながら主に食関係のライター、フリーランスPRに従事。
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