そしてそのペレのパティスリーを、セカンドレストラン「ラ・ボヒニア」のティータイム(サロン・ド・テ)で味わえるのですから、これほど嬉しいことはありません。 スペシャリテは『ミルフィーユ』で、そのゴージャスさに魅了されます。それもそのはず、ペレが大好きな3つのクラシック菓子、ミルフィーユ/イル・フロッタント/クレーム・キャラメルを合体させるアイディアから創作したものだそう。まず、パイ生地は砂糖をまぶして薄く伸ばし、それをパニーニ生地に包んで、波形の型に挟んで焼き上げたもの。これがとてもカリカリとした食感でたまりません。下の層には、イル・フロッタントからインスピレーションを得た淡雪卵で、中にとろけるカスタードソースが入っています。上の層は、キャラメルクリーム。そして、バニラビーンズたっぷりのクリームが上下にしのばせています。 ミルフィーユなのに、実はミルフィーユ以外の要素も盛り込んでいるという個性あるデザート。こんな遊び心のある工夫がペレの仕事には忍ばせてあるのです。
そして一番人気は『チョコレートとフランボワーズのタルト』。チョコレートのムースにフレッシュなコンポートを薄く層にして閉じ込めています。薄い赤い膜のコーティングにはクレーム・エペス(濃い生クリーム)を使用しており、ちょっとした酸味も加わって、チョコレートタルトにエレガンスが備わった印象でした。 こうしたコーティングをする場合ホワイトチョコレートのガナッシュを使うのが近年は主流ですが、どうしても味わいが重くなってしまう。それで色々と研究した結果、クレーム・エペスにしたのだそう。流行のレシピに追随することなくオリジナリティを探求し、クオリティを確固たるものにしているのです。
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