
キム・セロンの公式Instagram(@ron_sae)より引用
キム・セロンの最後の数年間、批判の標的となった私生活
韓国の俳優キム・セロンは、人生の最後の数年間、まるで「息をするだけで」批判を受けていた。
飲酒運転という過ちはあったものの、彼女に向けられた非難はそれだけにとどまらなかった。
自粛期間中、彼女が最も多く批判されたのは「私生活」だった。
生活苦を告白すれば「装っている」と揶揄され、友人とバーに行けば「反省が足りない」と非難された。
さらには、SNSに男性芸能人との写真を投稿しただけで「炎上を楽しんでいる」とまで言われた。
だが、キム・セロンの行動のどこに、これほどまでの非難を受ける理由があったのだろうか。
彼女は芸能活動を休止し、生計を立てるためにカフェで働いていた。成人として友人と酒を飲む自由もあったはずだ。
しかし、大衆やメディアは彼女の一挙手一投足を過剰に解釈し、批判を浴びせ続けた。
「自粛」とは何を意味するのか
芸能人が問題を起こした際の「自粛」とは、多くの場合、公の場から姿を消すことを指す。
しかし、キム・セロンはすでに自粛していた。それでも彼女に対する風当たりは強く、彼女を「奈落に落とす」ような風潮が続いた。
同じく飲酒運転や薬物事件、さらには未成年買春といった犯罪を犯した男性芸能人が「作品で恩返しする」と復帰する一方で、キム・セロンには再起の機会すら与えられなかった。
彼女が自宅で亡くなったと報じられた16日、Netflixでは過去にスキャンダルを起こした男性俳優が出演する「イカゲーム2」が話題となっていた。
一方、キム・セロンが出演していたNetflixドラマ「猟犬たち」は、2023年の公開直前に彼女の出演部分が大幅に削除された。
女性芸能人に対する厳しすぎる基準
韓国社会では、女性芸能人に特に厳しい倫理基準が適用されるという指摘が多い。
スキャンダルを起こした男性俳優は「演技力」で評価され復帰することが多いが、女性俳優は恋愛すらも批判の対象となり、容赦なく追い詰められる。
キム・セロンは9歳でデビューし、幼いころから成功を収めた。
しかし、20代前半での転落は彼女を格好のバッシング対象にした。彼女に向けられた非難や私生活の監視は、まるで「集団的スポーツ」のようだった。
最後の数年間、彼女は何をしても批判され続けた。その重圧は計り知れない。彼女の死をきっかけに、韓国芸能界における「不平等な基準」を改めて見直すべきではないだろうか。