3月4日は世界肥満予防デー。肥満予防の啓発が世界的に行われる日です。これを機に、肥満対策について見直してみませんか。もしかしたら産後に激太りしてしまい、どうにもこうにもならない状態になってしまっているかもしれません。
特に内臓脂肪の蓄積が引き起こすメタボリックシンドロームは、動脈硬化や心筋梗塞を起こしやすいなど重篤な病気のリスクが高まり、健康寿命が危ぶまれます。
今回は、内臓脂肪を減らすポイントを日本肥満学会 名誉会員の医師、宮崎滋先生監修のもと、ご紹介します。またライターが選んだおすすめアイテムも要チェックです。
産後太りがつらい…内臓脂肪を減らす対策は?
内臓脂肪を減らすためにはどんな対策があるのか、気になりませんか? 世間一般の人々の対策からチェックしていきましょう。
大正製薬が2025年1月、全国の20代以上の男女1,000人を対象に、余分な脂肪をつけないためにどのような対策をしているかをアンケートで調査したところ、「何も対策していない」が261人でトップに。2位は「脂質の多い食品を控える」(226人)、3位は「運動を習慣にする」(200人)と「間食を控える」(200人)でした。
また「糖質の多い食品を控える」や「食べる時間に気を付 ける」もランクイン。果たして、これらは正しいのでしょうか?
これを押さえておけば一生肥満にならない!?内臓脂肪を増やさない&減らすコツ
宮崎先生の監修のもと、正しい内臓脂肪対策をチェックしていきましょう!
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基本はカロリー調整&満足度の高い食事
内臓脂肪が蓄積されるのは、摂取カロリーが消費エネルギーを上回ったとき。この原理が鉄則なので、カロリーが多すぎるとNG。同じカロリーの中でも腹持ちがいいもの、同じ体積でもカロリーが低いものなどをチョイスして、摂取カロリーが消費エネルギーを上回らないようにしましょう。基本の炭水化物、脂肪、たんぱく質をバランスよく組み合わせて、満足度の高い食事にするのがポイントです。
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無理しない・落ち込まない
「間食をしない」「甘いものは絶対食べない」というのは続きませんし、リバウンドにもつながってしまいます。まずは無理のない「週一回は間食しない」など小さな目標から始めていきましょう。もしルールを守れなかったとしても落ち込まないことがポイントです。
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食欲コントロール方法を知る!
食欲がコントロールできなくなる理屈を知っておくと役立ちます。食べるとの控えたいときには、美味しいものを目の前におかない、食べている人を視界に入れないなどがポイント。「美味しそう」と判断すると、摂食中枢からオレキシンというホルモンが分泌され、このホルモンが胃に新たなスペースを作ってしまうのです。つまり、物理的に別腹ができてしまうので、食べてしまうというわけ。
また、ストレスが多いときはドカ食いしてしまいがちですが、科学的に実証されています。ストレスが多いときに、美味しいものを食べるとより幸せ気分が高まりますよね。その感情のマイナスとプラスの振り幅が大きいと、ドーパミンが大量に分泌されてドカ食いを促してしまうのだとか。ストレスがたまっているときは、あえて食べるのは控えるのが良さそうです
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食べるなら朝! 夜は控えめにする
どうしてもたくさん食べたいと思うときには、朝食のボリュームを増やしましょう。そして夜は少なめにするのがポイントです。食べる時間によって脂肪の蓄積が変わってきてしまうからです。
体内時計を司る“時計遺伝子”「BMAL1」は脂肪の合成を促す遺伝子で、22時から深夜2時にそのはたらきが最も高まります。夜に摂取したエネルギーが脂肪に変わりやすく、脂肪細胞が脂肪をため込みやすくなってしまうので、注意しましょう。
自力ではむずかしいなら内臓脂肪減少薬で対策を
もし内臓脂肪がお腹周りにどっぷりとたまっているなら、「もはや自力ではむずかしい!」と感じるかもしれません。
そんなときには、内臓脂肪減少薬を利用する方法もあります。「病院に行かないと処方されないんでしょ?」と思っている人はぜひ注目です。最近では条件を満たせばドラッグストアでも購入できる内臓脂肪減少薬があるのです。
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大正製薬「アライ」
それは、大正製薬「アライ」。ネットでも話題なので、耳にしたことがある人多いのでは。
ドラッグストアで買える内臓脂肪減少薬で「成人(18才以上)で、腹囲(へその高さ)男性85cm以上・女性90cm以上あり、生活習慣改善の取り組み(食事・運動)を行っていること等」の条件を満たせば薬剤師の指導のもと、購入できます。
アライには「オルリスタット」という成分が配合されています。これは、脂肪を分解して小腸から吸収できる形態にする膵臓から分泌される消化酵素リパーゼを特異的にブロックすることにより、食事由来の脂肪の分解・吸収が抑制される仕組み。
食事に含まれる脂肪の約25%が便として出てくるので、体重が減少するのです。
ところでオルリスタットを服用すると、人によっては油漏れが生じることから、不安になるかもしれません。けれど臨床試験データによれば、何らかの消化器症状が発現するのは服用した人の約60%で、すべての人に生じるわけではないのだそう。また飲み始めた最初だけということもあるそうです。
実は、オルリスタットとキトサンという成分をあわせて食事と摂取すると、油便になりづらくなるという可能性も動物実験の結果から示唆されているとのこと。理由として、キトサンが油を吸着する作用によって、油分が便に閉じ込められた状態で排泄されるからだと推定されるそう。
キトサンを含むサプリメントなどはドラッグストアやネットで手軽に手に入るので、飲み合わせを薬剤師に相談した上で利用してみましょう。
まとめ
内臓脂肪がたまっているまま過ごすのは、長い残りの人生を楽しめなくなる原因になってしまいます。ぜひこの機会に、対策を始めてみましょう。
【プロフィール】
医師 宮崎滋先生
日本肥満学会 名誉会員、結核予防会 総合健診推進センター所長。日本内科学会認定医・指導医、 日本糖尿病学会指導医・専門医、日本肥満学会指導医・専門医。1971 年 東京科学大学(旧 東京 医科歯科大学)卒業、第一内科勤務。都立墨東病院内科、東京逓信病院 内科部長、副院長を歴 任。東京医科歯科大学で臨床教授を務め、後進の教育にも注力。専門は糖尿病、肥満症、内分泌学 で、食事療法や運動療法などを軸にした治療法を展開。