お子さんの体質のお悩みは何ですか?
1歳から5歳の子どもを持つ親200人を対象にした調査によると、体質悩みの1位が「好きなものしか食べない(77人)」、2位「野菜を食べてくれない(48人)」とトップ2が偏食傾向への悩みだそう。
次いで、「なかなか寝ない(46人)」、「落ち着きがない(40人)」のほか、「食が細い(29人)」や、「癇癪を起こしやすい(27人)」「肌がかぶれやすい・弱い(26人)」。
栄養バランスや生活のリズム、そして情緒の安定性に関する悩み、きっと多くの親も共感するところなのではないでしょうか? 子供の健康に詳しい医師の石原新菜先生によると、これらの子供の体質、実は食べさせるもので対策できるそうです。
石原新菜先生
好き嫌い、どう対策したらいい?
「子どもは本能で好き嫌いがあるので、嫌いなものを無理に食べさせる必要はありません。だんだんと食べられるようになるので焦らなくて大丈夫。食べられるものの中からバランスよく、ビタミン、ミネラル、食物繊維をしっかり摂ることを意識しましょう。トマトが嫌いでもカボチャが好きならばカボチャで、のように」(石原先生)
半面、実は辛いもの、酸っぱいもの、苦いものにチャレンジさせるのはいいことだとか。
「子どもが『ちょっとまずいかな?』とびっくりする辛いもの、酸っぱいもの、苦いもの。実はこの“嫌なもの反射”が、腸を適度に活性化し、免疫機能などにいい影響を及ぼす可能性があるといわれています。」(石原先生)
調味料や薬味、レモン汁などを食事の中で味合わせてみるのが健康な腸づくりに役立つといいます。ちょこっとだけでも、お味見させましょう。
野菜嫌いの子にはユーグレナがおすすめ
ユーグレナは、ワカメや昆布と同じ藻の一種。動物と植物の両方の特徴を持っており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んでいる食品。
「子どもがユーグレナを含む飲料を摂取することで、便通の回数が増えたり、睡眠の質が上がったという報告事例もあります。また、子どものアトピー性皮膚炎症状が軽減される可能性を示唆する研究成果も出ています」(石原先生)
子どもが喜んで飲む味付けになっているドリンクもあり、いちばんの悩みでもあった野菜嫌いな子にビタミン・ミネラルなどを補わせるのにも手軽に取り入れられます。
●Editor's Pick!!
「からだにユーグレナ フルーツグリーンオレ」(149円・税込)
国内製造/保存料・合成着色料・人工甘味料不使用/カフェイン・トランス脂肪酸フリーで安心。実際にユーグレナ社内の幼稚園で子供たちが「おいしい」と選んだ味に仕上げたそう。
落ち着きがない、癇癪を起しやすい…もしかしたら腸内環境も問題かも?
「なかなか寝付けないのは、近年は親も忙しく生活リズムが狂いがちになってしまうこと、また、デジタルコンテンツの光刺激のせいもあるでしょう。光刺激は脳を興奮させ、睡眠のホルモンであるメラトニンの分泌を抑えてしまいます。また、1日の運動量が少ない可能性も。体が疲れると、ぐっと深い睡眠になるので運動させることも大事です。
体が冷えていることも寝つきの悪さの原因になるので、毎日、湯船でしっかり温まることも大事です。
また、睡眠リズムと情緒の安定性、いずれも自律神経が左右します。自律神経は腸内環境とも連携していることから、腸内環境を理想的にする工夫も睡眠や癇癪などの情緒の安定につながります」(石原先生)
発酵食品と食物繊維で腸からハッピーホルモンを出す食品
ハッピーホルモンといわれるセロトニンの9割は腸で作られると言われています。腸内環境のために子どもに積極的に食べさせたい食品は、発酵食品と食物繊維。 発酵食品から摂った良い菌を腸の中で育てるには、エサとなる食物繊維もしっかり摂ることが大事だそう。
おすすめの発酵食品は、納豆、ヨーグルト、味噌、お酢
納豆や味噌、ヨーグルトの健康効果は有名です。腸内環境を整えてくれることで自律神経や免疫機能への関与も期待できます。納豆とお味噌汁は毎日食べさせるのがおすすめ。
お味噌は体を温める食品で、温かいお味噌汁で摂ると腸を温める効果もあって非常に理想的です。朝ごはんに取り入れるのが特におすすめだそう。
お酢も酢酸菌という、腸内細菌のエサとなる菌を腸に入れるためにぜひ摂りましょう。
お味噌汁、牛乳にお酢ひとさじを入れることで毎日ちょっとずつ摂らせることができます。
おすすめの食物繊維豊富な食品はアーモンドとココア
アーモンドは総重量の約1割もの食物繊維を含む食品で、摂取した栄養をエネルギーに変えるはたらきや、肌や粘膜の健康を保護するはたらきが。得に成長期に不足すると成長障害を起こすビタミンB2も豊富なことから子どもにぜひ食べさせたい食品。
カカオ(ココア)も、実はごぼうやセロリよりも食物繊維が豊富といわれる食品。それ以外にも一緒に含まれるポリフェノールにも自律神経を整える効果があるといわれています。
カルシウム、マグネシウム、ミネラルも豊富。
塩も体温上昇のために重要
子どもに塩分を過剰に摂らせないようにしようという親も多いようですが、過度に薄味にしすぎる必要はありません。塩は体温を上げる働きがあるので、不足していると体温の低下につながります。
食事をあまり食べないのは、もしかしたら塩気が少なくて美味しく感じられていないからかもしれず、逆に量を食べ過ぎてしまう子は、必要な塩分量を摂れるまで本能で食べ続けてしまっているのかも。
子どものおかずは薄味すぎない味付けで。
食べ方のポイントは?
・あごを動かしてしっかり噛んで食べる
食べ物をよく噛むことで唾液に含まれる消化酵素アミラーゼが混ざりやすくなり、消化が早まります。
食べ物をよく噛まないと内臓に負担がかかり、内臓が疲れることで自律神経の働きも悪化します。
また、噛む行為は自律神経やセロトニン神経を刺激してくれるといわれる「リズム運動」のひとつ。しっかり噛むことで幸せホルモンのセロトニンが分泌され、強い心を育てることにもつながりうるのです。
「10回噛んで食べよう」と習慣づけて。
・会話を楽しみながら
栄養価の高いものを食べさせたい気持ちはわかりますが、本来食事は楽しいことであるべき。子どもが「おなかがすいた」という感覚を持ち、食べたいものを選んで食べられることが重要です。
消化酵素を出すためには、副交感神経を働かせる必要があるので、お小言は封印し、親子で会話を楽しみながらゆったり食事をしましょう。
・夕食は就寝の1~2時間前に終える
食べ物が胃から十二指腸まで移動するのには40分~1時間かかります。
子どもは夜8時~9時には寝かせることが重要。夕食は消化しやすい軽めのメニューにして、寝る1時間前までに終えるようにしましょう。野菜スープやおじや、リゾット、にゅうめんなど、胃に負担がかからない食事がおすすめ。
揚げ物や量の多すぎる肉類、食後の甘いスイーツは胃に負担がかかるのでなるべく避けて。
・冷たいものは温かい場所でとらせる
涼しい場所で冷たいものを食べると、急激に内蔵が冷えることで血流が悪くなり、自律神経の乱れの原因に。アイスなどの冷たいものがNGというわけではないですが、食べるとき、飲むときにはベランダや外など、温かい場所でとるよう工夫するといいでしょう。
【監修】 石原新菜(いしはら にいな)先生 プロフィール 医師・イシハラクリニック副院長/ヒポクラティック・サナトリウム副施設長/健康ソムリエ講師
1980年長崎県生まれ。小学校は2年生までスイスで過ごし、その後、高校卒業まで静岡県伊東市で育つ。2000年4月帝京大学医学部に入学。2006年3月卒業、同大学病院で2年間の研修医を経て、現在父、石原結實のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあたっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすいキャラクターで、講演、テレビ、ラジオ、執筆活動と幅広く活躍中。著書は 13万部を超えるベストセラーとなった『病気にならない蒸し生姜健康法』をはじめ、『「体を温める」と子どもは病気にならない』、『研修医ニーナの731日』” 等30冊を数え、韓国、香港、台湾、ベトナムでも翻訳され出版されている。日本内科学会会員。日本東洋医学会会員。日本温泉気候物理医学会会員。二児の母。
参考:株式会社ユーグレナ 2021年8月 1歳から5歳の子どもを持つ親200人を対象に、同居している子どもの体質などに関する悩みについての調査結果
画像出典:Shutterstock(asiandelight)