マスク生活が続く中、マスクのこすれや汗などの刺激で、肌荒れやニキビに悩まされていませんか? 早く治したい!と思っても、どのようにケアするのが最適かわからない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、マスクによる肌荒れやニキビの原因と対策を皮膚科医の慶田朋子先生監修の下、ご紹介します。
マスクを長時間着用することによる肌荒れやニキビは、なぜ起きるのでしょうか? 原因を確認しましょう。
1.マスクによるこすれや汗による刺激マスクと肌が触れる部分のこすれや汗は肌の刺激になります。その刺激が強すぎると、肌に炎症を起こすこともあります。
2.肌のバリア機能が低下している
マスクによる刺激で炎症を起こす場合に、肌のバリア力が弱まり、敏感になっている可能性があります。
バリア力が弱まっている原因として、皮膚の常在菌バランスが崩れてしまっていることが挙げられます。皮膚には常に300種類もの菌が存在しており、お肌を守る美肌菌から悪影響を与える悪玉菌までバランスを保ってすんでいます。しかしこの中でも「表皮ブドウ球菌」を代表とする美肌菌が減り、バランスが崩れてしまうと敏感肌の要因となり、肌荒れやニキビなどの肌トラブルを起こしやすくなります。
資生堂が実施した敏感肌の研究結果では、敏感肌には美肌菌が少ないことがわかっています。反対に、美肌菌が多い肌は、水分量が多く、赤みが少ないこともわかっています。もし今の肌が乾燥しがちで赤み傾向にあるなら、美肌菌が減っているのかもしれません。
マスクによる肌荒れやニキビを防ぐ方法
では、マスクによる肌荒れやニキビは、どうすれば防ぐことができるのでしょうか?マスクの対策から美肌菌バランスを整える方法まで見ていきましょう。
1.マスクの肌に触れる部分がなめらかなものを
美肌菌対策の観点では、物理的な刺激がきっかけで炎症を起こすと悪玉菌が増えやすくなってしまいます。肌に触れる面に、シルクややわらかいガーゼ、シルキーな化学繊維など、できるだけなめらかな布を使ったマスクを選びましょう。そういったマスクがなければ、一枚なめらかな布をはさむのも一案です。
2.マスク着用部は入念に保湿
マスクをつけていると保湿剤がマスクに吸い取られてしまうので、いつもよりたっぷりとスキンケア剤を塗りましょう。また、マスクが外せる場所ではマスクを極力外し、マスクで覆われている部分の汗や汚れを水で洗い流し、保湿クリームや乳液を塗って保湿することを習慣づけましょう。これにより、悪玉菌の増殖を防ぐことにつながります。
3.美肌菌バランスを整え、バリア機能を強化する
マスク着用の対策とともに、根本的な肌の改善も試みたいものです。鍵になるのは、美肌菌バランスを整え、バリア機能が低下した敏感な状態から脱すること。美肌菌は誰もが持っているもので、自分の肌を潤わせて守る役割を果たしてくれる天然の保湿クリームのようなものです。その美肌菌がすみやすく育ちやすい環境を作りましょう。
美肌菌バランスを整えるポイント
では、美肌菌バランスを整えるには普段からどんなことを意識すれば良いのでしょうか? スキンケアや生活習慣の観点からそのポイントを見ていきましょう。●洗顔のポイント
洗顔では、皮脂をきちんと落とすことが重要です。しっかりと洗顔フォームでの洗顔をしましょう。低刺激設計の洗顔剤で、泡立てて丁寧にやさしく洗うのがポイントです。
「皮脂を適度に残すために水やお湯だけで洗う」という方法が良いといわれることがありますが、古い皮脂を残すと酸化皮脂に変わって皮膚の炎症を起こし、悪玉菌の増殖につながります。
また皮脂が毛穴に詰まると無酸素状態になり、嫌気性という空気を嫌う性質を持つアクネ菌が増殖しすぎてしまうので、ニキビの原因になります。さらに、アクネ菌は脂分を好み、アクネ菌自身が皮膚に対してさらに皮脂の分泌を促す作用を発揮し、ますます皮脂が増えやすくなるという悪循環に陥ってしまいます。
●保湿のポイント
美肌菌の表皮ブドウ球菌の増殖には、湿った環境を作ることが重要です。たっぷり保湿をして美肌菌育成をしましょう。
●食事のポイント
アクネ菌の増殖と食べ物の関係性については、ある程度の相関関係がわかっています。
例えば「地中海式」と呼ばれる食事スタイルは、アクネ菌の過剰な増殖を抑制する効果が期待できます。タンパク質豊富な魚、肉、大豆などの豆類や、抗酸化物質であるビタミンA、C、Eやポリフェノール類をふんだんに含むトマト、ナス、ズッキーニ、スイカ、キウイなどの野菜や果物をバランスよくいただきましょう。
また間接的に美肌菌の増殖に役立つのが、セラミド入りヨーグルトやセラミド含有量が多い生芋こんにゃくを食べること。こんにゃく芋の外皮にセラミドが豊富なのです。またお鍋でお肉や魚のコラーゲンを摂ることもおすすめです。
美肌菌ケアにおすすめの化粧品の選び方
美肌菌はうるおい豊かな角層で育ちます。その生育環境を整えるためには、美肌菌のエサとなる酵母やビフィズス菌などの成分が配合されを補填でき、肌にも存在するグリセリンやセラミド、ヒアルロン酸など、水分をたっぷり抱える力があるの保湿成分がプラスできるものが理想です。マスク肌荒れやニキビなどに悩まされているなら、目先のケアはもちろんのこと、長い目でみた美肌菌が育成されやすい肌環境を作ることも重要です。ぜひ美肌菌ケアを実施してみてくださいね。
【監修】
皮膚科医 慶田朋子先生
東京女子医科大学医学部医学科卒業。同大にて皮膚科助手、美容クリニック勤務などを経て、銀座ケイスキンクリニックを開設。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医・日本レーザー医学会認定レーザー専門医。 最新の医療機器と注入治療をオーダーメイドで組み合わせ、「切らないハッピーリバースエイジング(R)」(メスを使わない若返り)を叶える美容皮膚科医として活動。著書に『女医が教える、やってはいけない美容法33』(小学館)など。