シトロエン車を改造してフードトラックに。さまざまなフェスティバルに出現。
パリで開催されるさまざまなフェスティバルに、突如登場して人気を得たアイスクリームのフードトラック(移動販売車)「グラス・グレーズド」。近年のパリでは、クオリティーの高いハンバーガーなどのフードトラックが流行ですが、他とは一線を画すクオリティのアイスクリームのフード・トラックの登場は初めて、とこちらも話題を集めています。
創業者はアンリ・ギテットさん。もともと企業戦略のコンサルタントでしたが、世界中の星付きレストランを食べ歩くなど昔から自他ともに認める美食家でした。2012年、35歳の時にそれまでの仕事はすべて辞め、アイディアとフレーバーに富んだ高品質なアイスクリームを作るという夢を実現することにしました。同年パティスリーの職業適正証(CAP) も取得して、何人かの仲間と企画を立ち上げて始めたフードトラックは口コミやSNSで広めることに成功。そして2年後の2014年夏、グルメ通りとして注目を集めるモンマルトルの丘のふもとのマルティール通りに初の路面店をオープン予定です。その成長ぶりは飛躍的と言えるでしょう。
アンリ・ギデットさん。前職は企業戦略コンサルタント。職業適正証も取得し、アイスクリームの道に。
成功のヒミツは、まずはこだわりの素材とオリジナルな組み合わせによる、従来なかったフレーバーのレシピ作りです。
「近年、料理の世界では素材にこだわったクリエーションが脚光を浴びているのに、アイスクリームの世界では昔ながらのフレーバーばかりで、時代から遅れていると思いました。ガストロノミーと呼べるクリエーションをアイスクリームで表現することに可能性があると感じたのです」とギデットさん。
赤いフルーツと山椒風味。質の高い季節のフルーツをランジス市場で仕入れて、独自のフレーバーを作る。
彼が考案するフレーバーは、オリジナリティ溢れるものばかりです。例えばバニラのフレーバーは、マダカスカル産の高級バニラにビオロジックの麻の実を閉じ込めたもので、ナッツに似た香ばしさが広がる余韻の長い味わいが特徴です。またチョコレートのフレーバーでは、高級な生ワサビと生姜を閉じ込めたフレッシュなスパイシーさが非常に興味深い味わい。その他、コルシカ産のミカンとクランベリーを閉じ込めたシャーベットも、絶妙な酸味の組み合わせ。
そして新作のマンゴーでは、エスペレット産唐辛子を調味料に使い、マンゴーのまったりとした甘味にぴりっとした辛味を加え、ハーモニーある味わいを生み出すのに成功しています。小さ目のカップで5ユーロ、シングルのコーンで3.50ユーロと、相場より少し高いのですが、その分素材のクオリティーの高さもアピールしています。