建物は1300年代からあり、1940年代にはこの場所にミルクショップが入っていたそう。1985年に「POP OFF」がオープンしてからもなお、クリーム色の古いタイルに囲まれたノスタルジックで可愛らしい店内にその名残をとどめています。入り口正面にはガラスカウンターにはフルーツやワイン、本日のスペシャルメニューが手書きで書かれたボードがあり、壁にはほうろうのポットやキッチン雑貨が置かれ、入り口脇両サイドにこちらの名物であるケーキが飾られています。 全体的にミニマルで清潔感のある内装で、14席ほどのこじんまりとした居心地の良い空間は、ランチからアフタヌーンティー、そしてディナーまでの間に地元客や常連客が足を運ぶ人気スポットとなっています。
オープン以来、こちらではベーシックな田舎風料理を提供し続けています。サラダやキッシュ、パイなど、シンプルなメニューですが良い材料にこだわり、ビオやオーガニックといった呼称にはとらわれず、28年間信頼のある同じ生産者から仕入れた材料を使って調理しているそうです。 人気メニューである「3種のキッシュ」は、リーキとサーモン、ベルギーチコリとハム、ブリーチーズとフェンネルといった様々な組み合わせのフレイバーを贅沢に楽しめる一品。この材料も全て地元で仕入れています。
そして、「POP OFF」での皆のお目当てはなんといってもケーキ。チーズケーキやザッハタルト、タルトタタンなどクラシックなものから、ブラックベリーやチェリー、ルバーブなど季節のフルーツを使ったものなど、日替わりのケーキは平均15〜18種類。朝5時からオーナーシェフ、ファンデルウィー・マルリーンさんがたった一人で全てのケーキを作っています。 たくさんのパティスリーが存在するアントワープですが、こちらのお店では、食の安全や健康にこだわったオーナー手作りのフレッシュなホームメイドケーキが絶賛されています。シンプルだけれど素朴で優しい味のケーキは見た目も綺麗。ケーキだけではなく、マカロンやアイスクリームも一品一品全て手作りにこだわっています。
オーナーシェフのファンデルウィー・マルリーンさんは、ベルギー西部の海沿いの街、オーステンデ出身。元々は科学を専攻していた学生でしたが、調理が好きだったため独自で勉強し、思い立って20歳という若さでパートナーとともにここアントワープでカフェ・レストランをスタートしたとのこと。以来、「POP OFF」を成功させるためだけに休みもとらずまっしぐらに働いてきたそうです。 現在はマルリーンさん一人で経営・調理を担っており、ますます忙しい様子ですが、「このカフェ・レストランは利益を上げることが目的ではありません。自分のケーキだと誰もがわかる、特別なものを作りたい」ととても情熱的に語っていました。こつこつとクオリティの高いオリジナルの料理やスイーツを一貫して提供し続けることが、地元ファンに支持されている秘訣のようです。
店鋪情報
住所: Oude Koommarkt 18, 2000 Antwerpen
営業時間: 12:00〜22:00 (水〜日), 月・火曜休
電話番号: +32 (0) 3 232 00 38
Webサイト: http://www.popoff.be
プロフィール
東京のPR代理店で5年勤務後、2011年5月にオランダ・アムステルダム郊外に渡欧。オランダ文化、語学を学びながら主に食関係のライター、フリーランスPRに従事。