アントワープから電車で約15分ほどの場所にある中世の街、リール。観光地としてはそれほど有名ではない小さな街ですが、アントワープから運ばれて来たダイヤモンドが研磨される場所として古くから知られています。
この街に住んでいる人たちなら誰もが知っているという人気カフェ「ビザール」は、リールの街を流れるネーテ川近くに静かに佇んでいます。
落ち着いた外観とは対照的に、店に入るとゴージャスなシャンデリアの下には丹念に作られたスイーツが、カウンターのうしろの棚にはさまざまな色や形をした美味しそうな焼きたてのパンが整然と並んでいます。カウンターの左手の壁にはシックな壁紙に木枠のグラスキャビネットが置かれれ、クラシックな陶器やグラスジャーに詰まったクッキーなどのスイーツが女子好みなアンティーク風にディスプレイ。
もとは花屋だったという店内は、古い建物の細長い間取りの造りを活かし、奥の二間続きにイートインスペースが設けられています。手前の部屋は4組ほどが座れる小さなリビングルームのような居心地の良いスペース。更に奥の部屋は天井が高くサンルームになっているため、明るく開放感があります。そして一番奥がキッチンです。奥のスペースの一角には、毎朝8時に朝食用のパンや総菜が並び、この朝食目当てに足を運ぶ客で店は忙しくなります。常連客は各自好きなパンを選び、コーヒーを飲み、新聞を読みながらくつろぎに来るのです。
朝食メニューは一律15ユーロ。アーモンド、アップル、クリーム、レーズンやマーマレードなどコーヒーと相性ばっちりのふわふわなデニッシュや、スイートブレッド、パンケーキなどのスイーツ系パン、またセサミシードやポピーシードをたっぷりまぶした、ずっしりとしたダークブレッドなどのソルト系のパンが並びます。この日はライスプディングのミニタルトがありましたが、タルトは日替わりだそう。
また朝食メニューに添えられて出てくるのはアプリコット&パッションフルーツ、ルバーブ、ストロベリー、ラズベリーの4種のフルーツの実が凝縮された手作りのジャム。こうしたペイストリーやパンは、店から車で10分の場所にある工房で10分置きに一日中焼かれており、朝食の時間を過ぎても頻繁にフレッシュなパンが運ばれてきます。
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