ベルギースイーツと聞いてみなさんがはじめに思い浮かぶのは、チョコレート?ワッフル?
今回ご紹介するのは「キュベルドン」と呼ばれるシロップ入りのグミ状のキャンディ。ベルギーを代表する庶民的な伝統菓子で、他国ではあまり知られていませんが、ベルギーっ子たちが幼少の頃から慣れ親しんでいる、スーパーやキャンディショップでも売られている定番のスイーツです。
キュベルドンの起原は定かではありませんが、19世紀後半に首都ブリュッセルの北西に位置するゲント地方で生まれたと言われています。ころっとした三角の形状からフラマン語で「鼻」を意味する名前がついたそうです。一般的に売られているキュベルドンには、ストロベリー、ピーチ、チェリー、バナナなどフルーツ系のフレーバーから、ローズ、ピスタチオ、コーヒーなどカラフルで豊富な味のバリエーションがあります。
このキュベルドン、一見シンプルなお菓子ですが、レシピは詳細な記録が残されておらず、現代において手作りで再現するのが難しいと言われています。19世紀から続く昔ながらのレシピを紐解き、今でも忠実に守っているのはごく限られたキャンディメーカーのみだそう。
なかでも、特に注目されているのがジェローム・ステファンスキー氏とソフィー・ヴァン クルクテン氏が2012年に設立した「キュベルドンズ・レオポルド」。伝統の味を再現し、100%ナチュラルの本物のキュベルドンを提供したいという思いから、2年かけて製法を開発。ひとつひとつ手作りしています。
前述のように現在ではいろいろな種類のキュベルドンが売られていますが、本来クラシックなキュベルドンは濃厚なラズベリーのシロップが入ったヴァイオレット色の一種類のみ。このキュベルドンが出来るまでは6段階の工程を踏みます。
まずはじめに、天然木の型にスターチのパウダーを入れ、厚い層を作ります。次はシロップ作り。ナチュラルなアラビアガム、ゼラチン、ビオシュガー、野生のラズベリーなど厳選された材料を銅製の鍋で数時間調理し、その後スターチで覆われた円錐の型に熱いうちに入れ、この後7日間、55℃に保たれたコンテナ内でキュベルドンを乾燥します。この工程によって外側の層が結晶化し、深い赤ワイン色のマットな表面が出来ます。乾燥後、型からひとつひとつキュベルドンを出し、スターチを綺麗に整えたら出来上がりです。
このように複雑な工程を経て、硬い外側とは対照的に、内側には液状化したシロップが詰まっていて、食べた時にとろりとした甘いエキスが口いっぱいに広がるキュベルドンができあがります。
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