昨年のレポートで紹介した「アダムス」のオーナーでもあるクリストフ・アダムさんが、フォション時代からのスペシャリテだったエクレアの専門店をオープンしました。
ポップなインテリアのブティックに、カラフルなエクレア。そして、新スペシャリテとなる、さまざまなフレーバーのトリュフがずらりと並ぶ様子は圧巻です。
オーナー・パティシエのクリストフ・アダムさんは、かつてフォションのシェフを、セバスチャン・ゴダールさんから受け継いで10年間務めていました。2011年に独立し、軽食のシュクレ・サレ(甘味・塩味)を提案するファーストフード店「アダムス」をオープンしましたが、その頃から水面下で進めてきたのが、エクレアに特化した店を作るプロジェクトでした。「アダムス」は最初からアダムブランドのセカンドラインとして展開する予定だったのです。そして昨年の12月にオープンしたのが「レクレール・ドゥ・ジェニ(=天才的に素晴らしいエクレア)」。
マレ地区といえば、美術館やブティックが多く観光名所も散在する立地。明るい木目調の棚、黄色いインテリアをアクセントに配した明るい印象の店作りは、アダムさん自身が考案したものです。その店内にカラフルなエクレアがずらりと並び浮き立つ様子には、目を奪われます。エクレアは常に定番12種類を用意しているそうです。
そして、エクレアに特化しているからこそ、素材や組み合わせにこだわったハイクオリティを目指すというアダムさん。
例えばピスタチオ風味なら、イランから最高級のピスタチオを仕入れ、自家製のペーストを作ってクレーム・パティシエールにあわせ、さらに香り付けのためオレンジピールを加えています。また、ピスタチオの味わいを際立たせるため、シューの表面にグラサージュを塗る前に、アーモンドペーストを薄く塗り付けるというこだわりも。
また、“フランボワーズとサクランボ”という赤いフルーツ同士の組み合わせのエクレアでも、果実のフレッシュ感が味わえるようコンフィにしたものを加えたり、“レモンと柚子”では、レモン風味のクリーム、柚子風味のグラサージュとコントラストを楽しめる工夫がされています。
さらに、マダカスカル産のバニラをふんだんに使ったクリームを入れたシューの上には、砕いてキャラメリゼしたピーカンナッツを乗せて、香ばしくグルマンな味わいをプラスする、などなど。例え一本のエクレアといえども、さすが、フォションの威信を背負ってきたアダムさんならではの、美しさでも品質でもバランスに優れたエクレアを生み出しています。
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