そして、パリへ戻り、市場調査などを進めるうちに出会ったのが、エディ・ベンガネムでした。エディは、世界的に威信のあるホテル「リッツ」のシェフ・パティシエを長年務めたのち、現在はヴェルサイユにある2つ星のホテル・レストラン「トリアノン・パラス」のシェフ・パティシエとして活躍している人です。エディ自身も、サラとデボラの四角四面ではない味わいの組み合わせやプレゼンテーションに刺激をもらい、彼女たちのチャレンジを応援することを引き受けたそうです。彼女たちのレシピにちょっとしたプロとしての助言を加えて、パーフェクトな新しいパティスリーを作り上げたのでした。 でき上がったのは、直径約3cm、超ミニサイズのパティスリー。食べやすいようにオリジナルのカップに入れて提供しています。一見よくあるカップケーキのようですが、実は中身はまったく別物。フランスのクラシックを宝石のように凝縮したようなパティスリーばかりで、その洗練度には驚かされます。
季節などによってメニューは変わりますが、常に10種類ほどは用意しているそう。例えば「フレジエ」。アーモンドの軽やかなダコワーズに、イチゴ風味のジュレを乗せ、さらにイチゴ風味のパンナコッタクリームを重ねていますが、ふわっと溶けてしまうような口当たりがとても魅力的。2口くらいでいただけてしまうというサイズもたまりません。 また、「バニラ・タルト」もとてもエレガントです。サブレにアーモンド風味のダコワーズ、バニラ風味のホワイトチョコレートガナッシュ。そしてバニラのパンナコッタクリームでドーム状に覆っています。バニラ風味がとても味わい深く、聞くとマダカスカル/タヒチ/インド産の3種類のバニラをミックスしているということでした。こんな小さな世界に、凝縮されたこだわりが隠されているのですね。
シューという形に注目した「サントノレ」も新しい見せ方。シューにラム風味のクリームを閉じ込め、ミルクコンフィチュール風味のチョコレート板、シャンティイで飾った見た目は、まるで貴婦人の帽子のようです。リッチなキャラメルの味わいが広がる、夢のような味わい。 また、今年の復活祭は4月20日。特別に作る100個限定の卵型のチョコレートにも夢が溢れます。映画『チャーリーとチョコレート工場』のように、100個の中にたった一つだけ、招待状を差し込んでいるそうです。当選者はエディのアトリエを1日見学できるとのことで、妖精の国への鍵を手に入れる人は一体誰でしょうね?
店鋪情報
住所: 21 rue Rambuteau 75004 Paris
電話: 01.42.77.42.15
営業時間: 11:00〜20:00 月休
http://www.lesfeespatissieres.com/