そんなオルデーさんは、オープニングの際に、「ラデュレはマカロンで有名ですが、チョコレートラインにも昔から力を入れていた。それでもチョコレートラインは注目される機会がなかなか少なかった。ラデュレらしいチョコレートを提案したい……そんな思いがつのって、独立したチョコレート店を作ることにしたのです」とおっしゃっていました。 「レ・マルキ・ド・ラデュレ」の店名は「ラデュレの公爵たち」という意味ですが、エレガントな衣装に身を包む社交界の貴族たちが、このカスティリオーヌ通りの店で舞踏会を繰り広げ、チョコレートをつまむ。そんな舞台をイメージできるような、現代のエレガンスの極致を感じることのできる店作りが印象的です。
お店のスペシャリテは『キャメ』のシリーズです。マルキ(公爵)やマルキーズ(公爵夫人)の横顔が描かれたチョコレートのシェル。マカロンでさまざまな風味を展開するラデュレらしく、キャメの種類も今や15種になります。こちらは、昨年開催のパリのサロン・デュ・ショコラのリポートでもとり上げさせていただきました。サン・ドミンゴ、ヴェネズエラなど原産地国をフィーチャーしたショコラの他、バニラ、シナモン、有塩キャラメル、バイオレット、バラなど、バラエティも華やかで、またその異なる色の風合いもお洒落です。 ちょっと厚手のシェルをかじると、とろりとしたガナッシュやキャラメルなどが現れる。一口で夢心地になるような、豊かな体験を送り届けてくれるクリエーション。マカロンと並ぶラデュレの象徴として、今後も引き継がれていくチョコレートになっていくでしょう。いつもながらボックスも素敵で、立体的な手袋のあしらいなど、ラデュレならではのエッジーなスパイスの効いたエスプリが溢れています。
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