カリフォルニアの最南端に位置する、サンディエゴはメキシコとの国境に位置し、ラテン色が濃いミックス文化の街です。美しいビーチをいくつも持つこの街の人達はスイーツとコーヒーが大好きです。食べ物やデザートも中南米風が目立ち、言語も常にスペイン語が飛び交っています。今回ご紹介する「Azucar」は、キューバ出身のオーナーパティシエ、ビビアンさんがクリエイトする「キューバ風デザート」の店です。
「Azucar」とは、スペイン語で「砂糖」という意味。ビビアンさんのスタイルは、基本のフレンチにキューバをミックスしたもので、ライム、ココナッツ、マンゴー、パパイヤ、パッションフルーツなどのトロピカルフルーツをふんだんに用いてアクセントを持たせます。ラム酒を加えるのも“キューバンテイスト”です。たっぷりエキスを抽出したフルーツピューレは濃く、クリームもコクがあります。スポンジがしっとりして甘さも押さえ気味なので、日本人には良く合うテイストです。キューバでは必ずと言って良いほど用いられるライムをモチーフとしたショップカラーで店内は明るくカジュアルでキューバンミュージックのサルサが流れています。
ビビアンさんは子供の時からお菓子作りが大好きで、学校や近所の人達にお菓子を焼いて喜ばせていました。成長してからは彼女の夢であったパリのコルドンブルーに行きパティシエになります。その後ロンドン、マイアミで高級ホテルのパティシエとして経験を積んでいきます。そしてサンディエゴに移り住んだのは、彼女がベイキングスクールの先生として招かれた為ですが、今ではサンディエゴが大変お気に入りのようです。
彼女の故郷、美しいカリブ海に囲まれた島国キューバーは、フロリダの最南端からわずか145Kmに位置します。トロピカル気候でフルーツやコーヒー豆の生産に長けており、有機農家が多く見られます。キューバはラム酒の生産地でも有名で、モヒートやダイキリなど、ライムジュースと合わせたカクテルが人気です。デザートにもライムとラムは多く用いられます。例えばラム酒をたっぷり含んだブレッドプディングや、「フラン」と呼ばれるプリンの原型のカスタードデザートには、キャラメル風味にラムレーズンをアクセントに用いたりします。
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