ジョルジュ・ポンピドゥー美術館からマレ地区のほうにのびるランビュートー通り。2004年に“パン・ドゥ・シュークル”がオープンするまでは、それほど人気の商店街ではありませんでしたが、当店ができてからというもののいろいろな店がオープンして、地元の人だけでなく他の界隈からも人がやってくるような、そんな賑わう通りになりました。例えば、パリでは人気のカップケーキ店や、リヨンのそばで知られるショコラティエの“プラリュ”、そしてコーヒー焙煎業者でただいま展開中の“テール・ドゥ・カフェ”などです。
7年前からとは様変わりしたこの通りに、“パン・ドゥ・シュークル”はさらに新しい挑戦を仕掛けました。本店から1軒を隔てた場所に、パティスリーだけを置く店をオープンしたのです。今まではチョコレート色を基調にして、オレンジ色をきかせた落ち着いたカラーの店構えで、そこにサレ(塩味)とシュクレ(甘味)がぎっしりとつまっていましたが、2軒先の店舗が空くと早速手に入れて、その場所をシュクレだけの店にすることにしたのです。併せて本店はサレの専門店に。都合がいいことに、この2軒の裏が繋がっていて、簡単に行き来できます。新しい店にサレのキッチンを作って、厨房も機能を分けることができるようになったのです。
店内は真っ白なホワイトを基調にしていて、近年パリで注目されている人工大理石「コーリアン」をカウンターに使っています。これを一枚板のように贅沢に使っているのが印象的。コーリアン素材の良さは、決して傷つかないこと、そして大理石のような高級感のある質感と肌触り、ひんやりとしていて、パティスリーの温度をしっかりと保つことができるということ。さらに自由自在に加工できるため、新しい“パン・ドゥ・シュークル”のロゴを彫り込んだり、好きな形にカウンターをデザインしたりと、思う存分2人のイメージが生かされている様子で、すっかり新しい店の顔になっています。
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