オランダでは、一足早くクリスマスがやってきます。 12月25日のクリスマス当日よりも盛り上がるのが “シンタクラース (聖ニコラス)祭”。 聖ニコラスは古くから聖人としてヨーロッパで知られていますが、このシンタクラースのお祭りは19世紀の童話が元になって始まったそうです。
サンタクロースの起源になったとも言われるこのお祭りは、11月中旬、白い髭をはやしたシンタクラースが真っ黒に顔を塗ったズワルト・ピート(お手伝い役)たちをお供にし、蒸気船でスペインからオランダに到着するところから始まります。 これはオランダのTVでも毎年大々的に報道され、子供達は歌を歌ったり名前を叫んだり大興奮で彼らの到着を祝います。
シンタクラースとズワルト・ピートはオランダ各地を白馬で周ってお菓子をばらまき、12月6日の聖ニコラスの誕生日の前夜に当たる5日の夜、子供達にプレゼントを渡すのです。 子供達はシンタクラースの到着したその日から、ドアや煙突、リビングルームに馬の餌となる人参を入れた靴を置き、12月5日の夜のメインプレゼントと、それまで徐々に届けられるたくさんのお菓子を心待ちにします。
そこでこの時期になると、シンタクラースに関連するお菓子があちこちで売られるようになります。 中でもクオリティが良く品数も多いのがオランダの人気ショップ“HEMA(ヘマ)”。 オランダらしい、シンプルかつポップな日用品が揃う人気店で、シンタクラースのお菓子のコーナーはお店の一角を占めるほどずらりと並んでいます。
とりわけ目立つのは、Chocoladeletter(ショコラーデレテル)というアルファベット型のチョコレート。 5日にメインのプレゼントが届く前に、子供達は自分のイニシャルのチョコレートを靴の中に見つけます。 大人も会社や取引先の人と、日本のお歳暮のようにイニシャルのチョコレートを交換します。ある会社では、11月末から12月初めにシンタクラースに扮した同僚がこのチョコレートを皆に配るそうです。
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