洋菓子激戦区の阪神間のなかでもひときわ閑静な住宅街である宝塚に、「パティスリーミラヴェイユ」がオープンしました。ナチュラルなテイストの店内には、アンティークの雑貨やバスケットなどが飾られ、親しみやすい雰囲気に溢れています。
こちらのオーナーシェフ妻鹿祐介さんは、神戸のフランス菓子店「ル・プレジール」の坊 佳樹シェフや、フランスではショコラ部門のMOF、フランク・ケストナーのもとで経験を重ね、2011年7月18日に独立しました。妻鹿シェフは、「とんがっていない、大人も子供も誰が食べても『おいしい』と言ってもらえるフランス菓子を目指して……」と、お菓子作りに励んでいらっしゃいます。
「以前から坊シェフの作るクラシカルなフランス菓子が大好きで、いつか坊シェフのもとで働きたいと思い続けていたんです。願いが叶って、坊シェフが経営されている『ル・プレジール』や『アンプレシヨン』で、足掛け6年、働かせていただきました。坊シェフの作るお菓子は、素材の味を全面に出しているけれど、口当たりよく食べやすい、味に奥深さがあるんです」と妻鹿シェフ。
そんな妻鹿シェフは、坊シェフの味を徹底的に学びつつ、フランス・ロレーヌ地方のショコラティエにも1年半修行されました。ショコラティエを選んだ理由を尋ねたところ、「自分のなかでの経験値の少ないお菓子がショコラだったんです。フランスでの修業期間、ショコラに触れることができ、本当に楽しかったです。シンプルなのに、味も香りもバラエティに富んでいて、組み合わせや仕立て方によって、奥行きのある味が生まれるところがショコラの魅力。クーベルチュールの香りや艶やかな表情の引き出し方など、シンプルな素材だからこその難しさも学ぶことができ、よい経験になりました。毎日毎日ショコラに携わっていると、慣れ、馴染み……と言いますか、ショコラと仲良くなることができ、おいしいチョコレート菓子を作れるようになった気がします。」
そう話す妻鹿シェフが作るチョコレートを使用した生菓子「フュージョン・ショコラ」は、オープン当初からショーケースに並ぶ、店の看板メニューの1つです。シェフが大好きだという、オペラ社のカカオ分70%のカルパノをムース、ビスキュイ、クリームに仕立て、艶やかに輝くグラサージュで覆ったお菓子は、単一のクーベルチュールを3種のテクスチャーで楽しませてくれる逸品!その楽しい食感のファンは多く、暑い季節でも人気が衰えることなくショーケースの中央に鎮座し続けています。
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